葵祭(加茂祭)①

      牛童が綱を引く牛車
      牛童が綱を引く牛車

5月の新緑が気持ちの良い季節。目の前の河原では、幼児らが懸命に石投げに夢中だ。そして、その近くでは母親らしき女性たちが、おしゃべりに夢中だ。ときおりジョギングのランナーが走り去る。天気は晴れ。そしてきょうは日曜日だ。

 

京都三大祭りのトップを飾る葵祭が15日に行われた。日曜日の開催は5年ぶりとのことで、沿道ではおよそ8万人が行列に見入ったそうだ。私は京都市営地下鉄の北大路駅で下車し、多くの群衆の流れにまかせて、加茂街道へ向かった。

 

驚いたことに同じ車両に乗り合わせた、客のおよそ八割がここで下車したではないか。車両に残った客がポカンとしている。「The Aoi Matsuri festival ,an annual event for・・・」。タブレットに夢中だった外国人観光客らしき男性もあわてて下車した。

 

京都に住む知人が言う。「この祭りを見るなら、北大路橋から御園橋をつなぐ加茂街道がイチ押しだね」。

 

なるほど、新緑の並木道が続くこの道を、平安王朝の装束姿の行列が静かに進む情景は最高だと私は思った。直線なので良く見える。そして日陰なのが嬉しい。鴨川沿いなので何かしら涼しさも感じられるようだ。

 

通過時間になった。ついに馬に乗った束帯姿の近衛使代(コノエズカイ)や、十二単姿の第61代斎王代(サイオウ)、そして御所車ともいわれる牛車がギシギシと車輪の音とともにこちらにやって来るのが見えた。