葵祭(加茂祭)②

       腰輿に乗る斎王代
       腰輿に乗る斎王代

新緑の香る加茂街道を、平安王朝の装束姿の行列が進む。行列は下鴨神社(左京区)を経て、上加茂神社(北区)へと向かう。

 

 「お~っ」。時折観客からため息がもれる。「はよ写真とりや」。奥様らしき女性に背中を押されながら、前に進み出る高齢の男性の姿も見える。私は苦笑。

 

残念ながらこの画像では、行列の中心的存在である第61代斎王代・西村和香さん(26)の姿が見えにくいが、なかなか大変な役目であるらしい。

 

そもそも斎王とは潔斎して神に仕える巫女のことだ。従来未婚の内親王などの後続がお務めされていたもので、最近では、伊勢神宮の62回神宮式年で黒田清子さん(旧名紀宮清子内親王)が、臨時斉宮に立たれている。なので、そうした歴史的背景にふさわしい人物が選ばれる。前出の知人によれば、「ええとこのお嬢さんでないとあかんらしい。しかも京都人なのは必須」。

 

また先ほどの話に関連するが、資産家のお嬢さんであることも条件になるようだ。十二単姿に檜扇(ひおうぎ)を手に腰輿(およよ)に乗る優雅な斎王代であるが、それらにかかる費用は全て自腹なのだという。「それじゃ高級車が買えるね」(笑)。

 

今年の斎王代に関しては、新聞報道にも関連記事があった。あながち知人の話は冗談でもないようだ。私はそうした話を聞いていたので、この祭が大変興味深いものとなった。